2018年04月15日

近況報告

新年と新年度が始まってようやく一息つけた!
久々に近況報告書きました。読んでもらう用にデスマス調。

今年から映画美学校のつながりのおかげで、都立高校で市民講師として半年間週一コマの「演劇」の授業をする機会をもらいました。4月に今年の受講生とご挨拶をして、私のタームは10月からの下半期。

大学で川俣正さんの「アートレス」に出会って以来、私の活動範囲としての芸術はアウトリーチに向かってました。ちゃんとアウトリーチができるようになりたかったから、一人前の職能を身につけた芸術家にずっとなりたかった。圧倒的な芸術家には到底なれない。が、先にアウトリーチの機会が巡ってきたので飛びつきました。それでも、アシスタントではない単独現場は初めてで、自分の芸術で高校生とクリエイションできるんだ!ってのにぶるってます。
私なんかが先生ってのはほんとまあどうかと思うんですが、ミクロとマクロ、主観と客観を行き来する演劇・映画の通路を通って、お互いに解像度をぎゅんぎゅんあげることを全力で挑みます。これから出会う10代のひとびとが、少しでも、世界ってでかいなあとか明日が楽しみとか思ってもらえますように。あとはひとりひとりと友達になりたい。

もう一つ。昨年は、夏に数年続けてきた5歳児と演劇を作るワークショップ、秋に気心の知れた映画仲間たちと「River River」のPV、冬に「海に浮かぶ映画館」さんで自作自演の一人芝居を観てもらえて十分恵まれていましたが、その間はずーーーっと吹替制作の仕事に精を出しています。最近これが自分の仕事として定着してきました。

私は映画を見るときは字幕派です。吹き替えは元々の俳優の声を奪う残酷でクオリティが下がる行為と思っていたし、残念な座組みになると実際そうなんですが、一方、吹替版を作るプロセスはとても面白いです。
なぜかというと、よい吹替版を作ること=ひたすらその作品の声を聴く仕事だと気づいたから。この物語、このキャラクター、この俳優、このシーン、この断片、この音、この編集…は何を言ってるんだってのを素材から精確に聴き取るのが一番大事で、時間や予算と闘いながら、なるべくローカル(日本)の素材で適切に組み合わせて余すところなく伝える。だから本質は翻訳作業です。

昔、同年代の天才的な翻訳者さんと話していて「まあ翻訳なんて不可能だからねー」って彼も笑っていたけど、吹替だろうが字幕だろうがそもそも不可能なんです。でも誰もが原語で映画を味わい切れるわけでもなく、日本語版というフィルターをかけるにあたり、それがごく透明に近づくことがあるのも知りました。

そもそも字幕版は元の素材を邪魔しない率が高いです。限られた字数だとしてもオリジナルに文字を載せて意味内容を補完するだけだから、何かの要素を入れ替えるわけではありません。でも、まあ文字を読みながら画面を見ることには慣れがいるというか、映画のテンポに慣れないと全然追いつけなくて集中できない、といえばそう言える。
一方の吹替版は、画面を見つめていればよい。台詞も息遣いも、元の素材で置かれていたものは余すところなく再現しようとするので実はオリジナルの情報の再現率はすごく高いです。だけど、台詞と声というすごく肝要な要素が変わるので、つまり、台詞の翻訳と声優の再現度に大きな比重がかかるので、このパート次第で総合的な再現率がものすごく左右されるってのがその難しさです。

だから特に、演出含む制作サイドとしては実力のある声優さんと翻訳者さんをずーっと探してる状態です。どちらもオリジナルの声と演技にシンクロしながら日本語と自分の声で芝居をその場で生起させられるかが勝負で、このシンクロ率が非常に高いという意味のカメレオン声優みたいな方はやっぱりいるんです。

だから言いたいことがあって、
私の周りで演劇や映画に出演する俳優さんにも、仕事として、声優業への進出も視野に入れてもらえたら嬉しいなって思っています。私が親しい範囲は現代演劇や自主映画界隈の俳優さんたちですけれど、その界隈の方々はなかなか吹替の現場ではお目にかかれません。
本業に忙しいのだから、もちろんすごく素晴らしい。ただ、仕事として次の展開を考えている方がいて、海外の映画やドラマが好きだな、人の声を聴くのが好きだな、モノマネが好きだな、いろんな声を出したりするの好きだな、って感覚があれば声優業は試してみる価値はあります。

アニメはまた特殊に求められるものがあるんだけど、私が担当してる外国映画(外画)は、「声優」の嫌なイメージの方、変な癖のある喋り・声優っぽいと感じるようなペラッペラな作り声は淘汰されます。だからそれが嫌いだから興味無い、っていう心配ならいらないです。私たちもそれはいらないから。
マイク前は舞台やカメラ前に立つのとは違う技術が必要だけど、根本は、芝居心と演じる技術を持ち合わせているのが一番なので基本的に使う筋力は一緒です。当たり前だけど、100%ギャラもあります。演技とは違うジャンルのバイトや仕事で鍛えられるものもあるけど、演じる仕事の選択肢としては挑みがいはあるはず。あと、吹替業界は実力主義で、事務所の力学ってのがほぼ働かないのもいいところです。実際、実力のある売れっ子の声優さんや、持ち役の現地の俳優さんががつんと売れた声優さん(まあこれは運…)はどんどん独立します。

演技経験者であれば声だけ預かりの事務所もあるし、単発のワークショップでまず触れてみるとか、気合い入れて養成所に行ってみるとか。事務所も結構色々なのでキャリアに応じてやりようはあります。
私が吹替版の演出になったときに(まだ時間はかかるけどいずれ)、一緒に映画作ったり演劇作ったりしていた仲間と吹替版一緒に作れたらすげーいい仕上がりを目指せると思ってるので、マジでマジで。ここまで読んでる俳優仲間がいれば、選択肢としてぜひご検討あれ。

あとこれは単に面白いからのオススメで、制作担当した海外ドラマのNetflix限定配信中の「13の理由」は面白いのでNetflix加入の方はぜひ見てみてもらえたらいいな。いじめ、自殺と、友情がテーマ。原作からドラマの時間感覚でしか描けない発展のさせ方で、10代の揺れ動きをすごく丁寧に高いクオリティで描きこんだ傑作です。誰もに視点があり、ある物事にどちらから光をあてるかでどう見えるかということ、誤った行いが起きたとしてそこからどう僕らは変わっていけるか、ことをちゃんと描いている。高校生にも見てもらいたいけど大人ももちろん。

そんなわけでしばらく表に出ないクリエイションが中心ですが、引き続き自分の創作もやりまーす。映画館で映画を見る時間が激減してるのが悩み。映画館にいきたーい!
posted by hamigoe at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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