2013年12月11日

想像の中のその人

例えば、マンガやゲームやたまに小説などなどの実写以外のキャラクターにハマってしまうと、「本編」では描かれないその人の違う一コマを捏造する、なんて行為がよくある。
そうするとき、そこには自分にとってのその「人」がいる。

そのときの行為って、その人の日常を私(だけ)は知ってるの、みたいなストーカー的偏愛というより、その「人」の存在を信じてしまっていて、いつの間にか自分の「世界」の中にその「人」がすっかり生き生きと息づいてしまう、住み着いてしまうので、その人の時間の違う一コマを自分の内側だけじゃなくて表に出現させたい、という欲求がそうさせているんだろうなあと思う。

あくまでも、「ストーリー」を持つものに限って、かつあくまでも「キャラ愛」に関して限定しての話です。
例えば映画を見ていてすごーい、これすごーいって数日単位で抜けられないような体験をしたときに何で自分の内側でその続きの捏造に至らないか。それには大きな理由を3つ感じていて、一つには「俳優」がメディアであるから、ではないか。映像がいくら影とはいえ、俳優は、ある「ストーリー」の中で生きる「キャラクター」である以上に、観客にとって、自分が勝手に手を出せない世界を既に持っている存在だと、観客は受け止めている(たぶんね)。生身の人間は、「生身の人間である」ということそのもので観客側にとっては既に破ることのできない輪郭があり、その言動などなどを勝手に捏造することはたとえ妄想だけであっても難しい、というか、したくならない。だって自分の意思の及ばない範囲でその人はそこにいる、それをのぞき見ているのだし、だいたい生身の人について想像することは、いつだってものすごく骨が折れる。
そしてもう一つには、例えば映画や舞台などを見るときというのは、自分の外の世界に自分が出て行くという体験だから。自分からその世界に出向くのであって、自分の世界の中に「その人」を引き込むのではない。だから、「その人」は自分の世界には息づかない。スクリーンに映し出された世界に鏡のように自分を照射する存在=自分の影を見つけることや、その世界が自分の世界観と反射しあって交感していく、ということはいくらでもあるのだけれど、映画の中にいる人々は「その世界に/で生きる人々」なのであって、自分の世界の中には息づかない。どこまでいっても映画は覗き見る行為で、それにより自分の側のスクリーンが破れることはあっても、映画館のスクリーンという窓が破けることは決してない。3つめは、まさにその映写が終わる時のこと。「その世界」と私のいる「世界」との窓は、向こうからぱたりと閉ざされるから。

一方、マンガやアニメやゲームやフィギュア(これは三次元だけど「動かない」からこっちに含める)や文字による二次元創作物。これは、どれも「その人」を自分の内側に存在させることができる。もちろんそれぞれに先行する「本編」があって、だから、その世界の中で動く彼らの言動や人格は既に決定されている。にもかかわらず、そこには生身の実体がない。想像に骨が折れる生身の実体がない、ということにより、観客は「その人」という存在を自分の世界に勝手に息づかせることができる。それには「本編」でのその人の存在感がリアリティを持つくらいにはしっかり立っていてくれないといけないのだけれど、そのハードルはわりと低い気がする。それさえ超えれば、いくらでも補完できてしまう。断片的に見せられているその人の過去や未来や、その細部を勝手に補完する。そして愛でる。「その人」が自分の世界の中で勝手に動く様を愛で続けられる。
それはずっと撫でていられる、自分が捨てない限りなくならない。最上級自分好みの毛並の愛玩物。その愛玩物を携えて、の白昼夢は他にはない、誰からも遮られず自分だけで完結する、どうしようもなくあまーい心地よい繭なのかもしれない。
誘惑に溺れるのは簡単です。ぬくぬくした繭の中で生育する蚕は、筋力や力が育たないため自然環境で自力では生きられず、飛べずに死んでしまうのだそうですけれど。

生身の人間は、決定的に、自分の外側にしかいない。そこには絶対に、境界線が、断絶がある。生身相手の想像には粘りや、肉体的なまた精神的な筋力、努力を要する。失望とともにひとり。手を繋ぐ、たまにとびきりの喜び。そしてまた一人。

とかなんとか。私は、書くことと話すことで考えている。
演じることで考えている? 物語ることで考えている? 嘘をつくことで考えている? ものを作ることで考えている? のかしら、とまた思う。
posted by hamigoe at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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